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癌研有明病院でのセカンドオピニオン

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今日の有明癌研病院をもってしてセカンドオピニオンは終了し、手術を受けるかどうかの結論が出た。結論は「手術を受けない」である。細かい点では違いがあったが、今日の医師も先日の国立がんセンターのA先生と同じ見解であった。やはりこのぐらいの大病院に聞くと、まさに教科書どおりの答えになるのであろう。そして教科書どおりの答えをすると、私の状況の場合はやはり抗がん剤治療、それもFOLFOXの投与というのが王道のようである。もちろん私は抗がん剤はやるつもりはないので、そうなると西洋医学的には「もう手の施しようがない」ということになる。今日の医師は、腹膜にこれだけたくさん転移している状況では手術はできない(実際にはできないのではなくて、やる意味がない)ので、抗がん剤をやらないのであれば、緩和ケアの方向しかないと言っていた。そしてFOLFOXの副作用について尋ねたところ、ほぼすべての患者に強い副作用が出現(ちなみにFOLFOXの特徴的な強い副作用とは、冷たいものに対する過敏な反応で、冷たいものを飲んだり食べたり触ったりするとびりびりする神経症状が出るらしい)、そしてそのあまりの強い副作用にほとんどの患者が10回の投与でギブアップすると言っていた。そんな恐ろしい抗がん剤をどうして私が受けられようか。抗がん剤の場合、ギブアップしたらそこで終わりである。つまりさんざん苦しい思いだけさせられて、10回やるうちにまだ効果が出ていればましだが、そうでなければ単なるやり損である。

それから今日の医師のちょっと頼りなかったところは、聖路加の主治医ができると言っているのであればできるのではないですか?という言い方を盛んにしていたことである。主治医が言っていることを100%信じているのであれば、そもそもセカンドオピニオンなどに来ないというものだ。まさに別の医師の見解を聞きたいから来ているのに、セカンドオピニオンとはなんぞやというのを理解していないのではないかと疑わせるようなところがあった。

一つ今日の医師が言ったことで興味深かったのは、聖路加のO先生は外科医としてかなり勇気がある人だということだ。「勇気がある」というのはどういうことなのかよく分からないが、なぜかそういう言い方を盛んにしていた。要するに普通ではやらない手術をやろうという気概を持った貴重な人だということらしい。よってそれだけ自信を持って「腫瘍は切除できる!」と言っているのであれば、それに賭けてみたらどうかと言われた。O先生でさえ根治の確率は20%あるかないかと言っており、A先生も今日の先生もSクリニックの先生も、皆が口をそろえて「腫瘍を『完全に』切除できなければ手術の意味はない」と言っているのだから、そんな確率の低いものに賭けてみようという気になど到底なれない。素人の私が考えても、腫瘍を完全に切除できるとは思えないので、やはり手術をする意味というものはほぼゼロに等しいのであろう。

ところで有明癌研病院はホテルのような豪華な病院であった。設備もスタッフも一流という感じでとても好感が持てた。特に感動したのは、写真のPHSシステムである。自分の順番が回ってくると、病院内のどこにいてもこれで呼び出してもらえるので、診察室の前のイスでずっと待っている必要はない。国立がんセンターでいつも思うのだが、自分の番がいつ回ってくるか分からないので、おちおちとトイレにも行けやしない。まさにがんセンターこそこのシステムを導入すべきである。母に聞いたら今では廃止になってしまったそうだが、以前国立医療センターでも同システムが導入されていたらしい。これは病院側、患者側双方にとって便利なので、ぜひ待ち時間の長い大病院には導入して欲しいと思う。

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すばらしいPHSシステムの一方で、思わぬローテクぶりも露呈された。この写真は聖路加国際病院から持っていったMRIとCTの画像のCD-ROMだが、なんとその場でCD-ROMを再生できないというのだ。CDの中を見るには、別の場所で見なければならず、しかも手続きが煩雑で時間がかかるらしい。よってせっかく持っていった資料に目を通してもらえなかった。ちなみに東京女子医大のPET検査の画像もCD-ROMでもらった。国立癌センターの場合は、まだレントゲンフィルムになっている。日本有数の大病院といえども、これだけの差があるのだ。

たまに「みづきさんは東京にいるからいいですね」と地方の方からコメントをいただくことがあるが、このような状況を見るにつけ、本当にそうなのだと思う。画像をCD-ROMでもらえたりするのも東京ならではなのかもしれないし、セカンドオピニオンを簡単にさせてもらえるのも東京ならではなのかもしれない。というのも、田舎の病院ではまだセカンドオピニオンに対して抵抗感を持っている医師がいるとも聞くからである。セカンドオピニオンは確かに主治医の意見を100%信じ切れていないということにもなるから、医者がそれを不満に思う気持ちも分からなくもないが、でも正確な情報を得るのは患者の権利であり、かえって自分の判断に自信がある医者であれば、医者にとってもセカンドオピニオンをしてもらったほうがリスク回避となって好都合なことなのである。今回の私のセカンドオピニオンを見ても分かるように、基本的には教科書どおりの同じ見解になるから、医者側からすれば自分が言ったことの正しさを証明してもらえることになる。うまくいった場合はいいが、万が一不幸な結果になった場合、セカンドオピニオンをしていないと、その医者のせいにされてしまいかねない。ああ、やっぱり他の医者にしていればよかったのだと患者や患者の家族は考えるからである。しかしセカンドオピニオンで自分の正当性を前もって確認しておいてもらえば、そういうことになったときでも責められることは少なくなるであろう。なぜなら基本的にどこの病院へかかっても結果は同じだったからである。

最後に、手術をしないという結論が出たからには、もう他にチョイスはない。とにかく今までやってきたことを一生懸命やって、根治を目指してがんばるしかないのである。よって手術を受けなくていいんだという安堵感がある一方で、残された道も1本しかなくなってしまったという不安も募り、なかなか複雑な心境である。さて明日からまたがんばるぞ!!

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著者プロフィール

みづき
1970年東京生まれ、女性。既婚。子供はなし。米国シリコンバレーのIT企業のCFO、および日本のコンサルティング企業の役員としてそれぞれ在職中。2006年1月、米国西海岸(シリコンバレー)在住中に癌を告知され、急遽帰国しました。現在は東京・新富町(築地の近く)の自宅にて末期直腸癌(ステージⅣ)で闘病中です。
この写真は、2005年12月8日、サンフランシスコのお世話になっている弁護士事務所のクリスマスパーティに出席したときのもの。これが最後の飲み会でした・・・。お酒をこよなく愛した私も、お正月以来一滴も口にしていません・・・。また飲める日が来ると信じてがんばります!